日本喉頭科学会「利益相反に関する指針」細則 |
第1条 (目的)
この細則は日本喉頭科学会(以下「本学会」という)が「利益相反に関する指針」(以下、「本指針」と略す。)を対象者に遵守させるにあたり、本指針の具体的な運用方法と、違反者への措置方法を示すことを目的とする。
第2条 (企業・営利を目的とした団体)
「企業・営利を目的とした団体」とは、医学研究に関し次のような関係をもった団体という。
- 医学研究を依頼し、または共同で行った関係(有償無償を問わない)
- 医学研究において評価される療法・薬剤・機器などに関連して特許権などの
権利を共有している関係 - 医学研究において使用される薬剤・機材などを無償もしくは特に有利な価格
で提供している関係 - 医学研究について研究助成・寄付などをしている関係
- 医学研究において未承認の医薬品や医療機器などを提供している関係
- 寄付講座などのスポンサーとなっている関係
第3条 (公表すべき利益相反状態の基準)
公表しなければならない利益相反状態については、本指針Ⅳ.開示・公開する事項に定められたものとする。ただし、各々の開示する事項について、自己申告が必要な金額を次のように定める。
- 企業や営利を目的とした団体の役員、顧問、職員については、
1つの企業・団体からの報酬額が年間100万円以上。 - 関連する株式の保有については、1つの企業についての1年間の株式による利益
(配当、売却益の総和)が100万円以上、あるいは当該全株式の5%以上を保有。 - 企業や営利を目的とした団体からの特許権使用料については、
1つの特許使用料が年間100万円以上。 - 企業や営利を目的とした団体から、会議の出席(発表)に対し、
研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)
については、1つの企業・団体からの講演料等合計が年間50万円以上。 - 企業や営利を目的とした団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った
原稿料については、1つの企業・団体からの原稿料等合計が年間50万円以上。 - 企業や営利を目的とした団体が提供する研究費(受託研究費、共同研究費など)
については、1つの研究に対して支払われた総額が年間200万円以上。 - 企業や営利を目的とした団体が提供する奨学寄付金(奨励寄付金)については、
1つの企業・団体から、研究者が所属する部局(講座・分野)あるいは1名の
研究者・代表者に支払われた総額が年間200万円以上。 - 企業や営利を目的とした団体からの研究員等の受け入れについては、企業等から
研究員を受け入れている場合。 - 企業や営利を目的とした団体が提供する寄付講座に申告者が所属している場合。
- その他の報酬(研究とは直接無関係な旅行、贈答品など)については、1つの
企業・団体から受けた報酬が年間5万円以上。
注)奨学寄附金の受け入れ先は、機関の長(学長・病院長など)と講座・分野の長(教授・科長など)と大きく2つに分かれている。前者の場合、研究者個人との関わりはないと判断されがちだが、機関の長を経由した形で、発表者個人、発表者が所属する部局あるいは研究室へ配分されている場合には申告する必要がある
第4条 (本学会学術集会等での発表者の申告)
筆頭演者が公開・開示する義務のある利益相反状態は、発表内容に関連する企業や営利を目的とする団体に関わる場合に限定する。
- 発表時に、発表スライド、あるいはポスターの最後に開示する。開示が必要なものは、抄録提出1年前から発表時までにおける筆頭演者の利益相反状態の有無を明らかにしなければならない。(様式1)
第5条 (本学会誌等での発表者の申告)
著者(共著者を含む)が公開・開示する義務のある利益相反状態は、投稿内容に関連する企業や営利を目的とする団体に関わる場合に限定する。
- 本学会誌その他本学会刊行物で発表を行う著者は、投稿時に、過去1年間における著者の利益相反状態の有無を明らかにしなければならない。
- 投稿規程に定める様式(様式2)により、利益相反状態を明らかにしなければならない。この様式の情報は、利益相反についてまとめられ、本文末尾に印刷される。規定された利益相反がない場合には、同部分に「著者は申告すべき利益相反を有しない」という文言をいれるものとする。
第6条 (役員等の申告)
本学会の役員(理事長、理事、監事)、顧問、幹事、学術講演会担当責任者(総会会長など)、各種委員会委員長を「役員等」と略す。役員等が公開・開示する義務のある利益相反状態は、本学会が行う事業に関連する企業または営利を目的とする団体に関わる場合に限定する。
- 本学会の役員等は、新就任時には就任日から過去2年間における利益相反状態の有無を申告しなければならない。また、在任中に新たに利益相反状態が発生した場合には、8週以内に申告しなければならない。
- 役員等のいずれかを兼任する者は、その就任の時期の最も早いものについて、その就任日から過去2年間における利益相反状態の有無を申告しなければならない。
- 利益相反状態の有無は様式1に記入して申告する。申告にはその算出期間を明示する。
第7条 (役員等の利益相反自己申告書の取扱い)
本細則に基づいて本学会に提出された様式1及びそこに開示された利益相反状態(利益相反情報)は本学会事務局において、理事長を管理者とし、個人情報として厳重に保管・管理される。
- 利益相反情報は、本指針に定められた事項を処理するために、理事会及び委員会が随時利用できるものとする。
- 前項の利用には、当該申告者の利益相反状態について疑義もしくは社会的・法的問題が生じた場合に、倫理委員会の決議ならびに理事会の承認を得て、当該利益相反情報のうち必要な範囲を、本学会内部に開示、あるいは社会へ公開する場合を含むものとする。
- 様式1の保管期間は役員等の任期終了後2年間とし、その後は理事長の監督下で廃棄される。ただし、その保管期間中に、利益相反状態について疑義もしくは社会的・法的問題が生じた場合は、理事会の決議により、様式1の廃棄を保留できるものとする。
第8条 (指針違反者への措置)
理事会は、本指針に違反する行為に関して審議する権限を有する。
- 学会発表や論文発表において、利益相反委員会が本指針に違反していると判断した場合、利益相反委員会は理事長に報告するとともに、学術講演会担当責任者あるいは編集委員会委員長に答申する。学術講演会担当責任者あるいは編集委員会委員長はその答申に基づいて、理事会の承認を得て改善措置などを指示することができる。さらに利益相反委員会で深刻な利益相反状態があると判断された場合、倫理委員会で検討、理事会で審議を行う。その結果深刻な利益相反状態であると判断された場合、学会発表や論文発表の差し止めなどの措置を講じることができる。既に発表された後の場合は、掲載論文の撤回などの措置を講じることができ、また本学会の定款にしたがい、会員資格などに対する措置を講じることができる。
- 本学会の役員等において、利益相反委員会が利益相反事項に問題があると判断した場合、理事長に報告し、理事長は速やかに理事会を開催し、審議しなければならない。
- 2、3により措置を受けた者は、本学会に対し、不服の申し立てをすることができる。不服申し立て後30日以内に倫理委員会を開催してその審議を行う。委員会開催日から30日以内に不服申し立てに対する答申書をまとめ理事会に提出する。
第9条 (変更)
利益相反委員会は本規則、細則の見直しのために審議を行い、倫理委員会、理事会の議決を経て変更することができる。
附則
この施行細則は、平成29年4月8日から施行する。