理事長挨拶 |
![]() 平野滋 |
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日本喉頭科学会理事長 平野 滋 喉頭科学は耳鼻咽喉科領域の3本柱である耳、鼻、のど(喉)のうちの一つであり、気道、発声、嚥下を扱う極めて重要な領域です。これらの機能は人が生きていくうえで最低限必要不可欠なもので、その障害は重大なQOLの低下に結びつきます。当学会は1989年に喉頭科学の発展と診療の進歩のために結成されました。まだ若い学問・学会ではありますが、この30年間で飛躍的進歩を遂げております。会員数は1000名前後を推移しており、耳鼻咽喉科医師のみならず、言語聴覚士やメディカルスタッフを含めた全人的活動に取り組んでいきたいと思っております。 学会ではこれまで喉頭疾患の診断や治療、基礎研究、臨床研究について幅広く推進してきており、音声障害のガイドライン作成のほか、難病とされる声帯萎縮や瘢痕の疫学調査、診断基準作成、痙攣性発声障害の診断基準と手術法のマニュアル作成などの活動を行うとともに、会員には広く学会発表、論文発表を促進し、優秀論文賞の授与も行って参りました。 喉頭科学の最近のトピックとしては、再生医療、音声・嚥下改善手術の開発と改善、喉頭癌の機能温存治療などが挙げられます。いずれもが喉頭の機能を重視した治療法の開発を最終目標としており、そのための基礎研究が進められております。 日本は世界的にみて喉頭科学の黎明期には先導的役割を演じました。日本のプレゼンスを維持・発展させていくことが重要ですが、耳鼻咽喉科医師のうち喉頭科学を専門とするものは多いとはいえず、今後若手育成と国際化が重要な課題と考えております。喉頭科学は学問的にも臨床的にも極めて専門性が高く、若手医師に対する喉頭科学の啓蒙と手術手技のトレーニングは必須であります。また国際学会での学際的活動は日本の喉頭科学の発展には必要不可欠であり、これをさらに進めていくことが重要です。 本学会が、喉頭科学の知識と教養の啓蒙、手術手技の開発と向上、若手教育の場として益々活用されていくこと、ひいては音声障害、嚥下障害等、喉頭疾患の診療へ還元されることを祈っております。 |